交流とは?直流との違い・周期・周波数・実効値をわかりやすく解説

交流の正弦波と医療機器を説明するひよこのイラスト 医用工学

コンセントから供給される電気や、医療機器の内部で扱われる電気には「交流」が使われています。しかし、交流は電圧や電流の向きが変化するため、直流よりもイメージしにくいと感じる方も多いと思います。

この記事では、交流の意味、直流との違い、周期・周波数・最大値・実効値、位相について、図を使ってわかりやすく解説します。診療放射線技師国家試験でよく使う公式も一緒に整理していきましょう。

交流とは?

交流(alternating current:AC)とは、時間とともに大きさと向きが周期的に変化する電流のことです。電圧についても同様に、正と負を周期的に繰り返すものを交流電圧といいます。

交流では、電流が一方向へ流れ続けるのではなく、ある時間は正方向、次の時間は反対方向へ流れます。家庭のコンセントから供給される電気は、代表的な交流です。

直流と交流の違い

直流(direct current:DC)は、電流の向きが時間によって変わりません。一方、交流は電流の向きが周期的に入れ替わります(図1)。

時間に対して大きさと向きが一定の直流と、周期的に変化する交流の波形比較

図1:直流と交流の波形の違い

直流(DC)交流(AC)
電流の向き一定周期的に変化
大きさ一般に一定時間とともに変化
代表例電池、蓄電池家庭用コンセント
変圧そのままでは難しい変圧器で容易

交流は変圧器によって電圧を変えやすいため、発電所から遠く離れた場所へ効率よく電力を送るのに適しています

正弦波交流

交流にはさまざまな波形がありますが、最も基本となるのが正弦波交流です。瞬時(ある瞬間)の電圧 v は、次の式で表されます。

v = Vm sin(2πft + φ)
正弦波交流の最大値・実効値・周期Tを示した波形
  • v:瞬時値[V]
  • Vm:最大値[V]
  • f:周波数[Hz]
  • t:時間[s]
  • φ:初期位相[rad]

図2:正弦波交流の最大値・実効値・周期

周期と周波数

波形が1回繰り返すまでの時間を周期 T[s]1秒間に繰り返す回数を周波数 f[Hz]といいます。両者には次の関係があります。

f = 1 / T  T = 1 / f

例えば、周波数が50 Hzの交流では、周期は 1/50=0.02 s(20 ms)です。日本の商用交流は、東日本で50 Hz、西日本で60 Hzが使われています。

瞬時値・最大値・実効値

交流は時間とともに値が変化するため、どの大きさを指しているのか区別する必要があります。

  • 瞬時値:ある瞬間の電圧または電流の値
  • 最大値(波高値):波形がとる最大の値 Vm、Im
  • 実効値:同じ発熱効果を生じる直流の値

正弦波交流では、実効値と最大値の関係は次のようになります。

V = Vm / √2  I = Im / √2
同じ大きさの発熱を生じる交流100Vの実効値と直流100Vを比較した図

図3:交流の実効値の考え方

家庭用コンセントの「100 V」は最大値ではなく実効値です。最大値は √2×100≒141 V になります。国家試験では、実効値から最大値への換算を間違えないようにしましょう。

平均値

正弦波を1周期そのまま平均すると、正の部分と負の部分が打ち消し合うため 0 になります。ただし、交流回路で単に「平均値」という場合は、正弦波を整流した半周期の平均を指すことが多く、次の式で表されます。

Vav = 2Vm / π  Iav = 2Im / π

1周期の平均は 0 であることと、整流平均値は最大値の 2/π倍であることを分けて覚えましょう。

位相と位相差

位相とは、交流が1周期のどの位置にあるかを角度で表したものです。1周期は360°(2π rad)に相当します。

2つの波形の山やゼロ点が一致しているときは「同位相ずれているときは、そのずれを「位相差といいます。抵抗だけの回路では電圧と電流は同位相ですが、コイルやコンデンサを含む回路では位相差が生じます

医療機器と交流

医療機器の多くは、商用交流を電源として受け取り、機器内部で目的に合った電圧や波形に変換して使用しています。

  • 電源回路:交流を整流・平滑して直流へ変換し、電子回路を動かします。
  • 変圧器:交流による電磁誘導を利用して、電圧を上げたり下げたりします。
  • X線装置:商用交流を直流に変換し、インバータで高周波交流にして昇圧した後、再び整流してX線管へ加えます。
  • 電気メス:高周波交流による生体組織の発熱を利用して、切開や凝固を行います。

交流の基礎を理解しておくと、変圧器、整流回路、インバータ回路、RLC回路などの学習にもつながります。

国家試験で押さえたいポイント

  1. 交流は、大きさと向きが周期的に変化する
  2. 周期と周波数の関係は f=1/T
  3. 正弦波の実効値は、最大値の1/√2倍
  4. 家庭用100 Vは実効値で、最大値は約141 V
  5. 正弦波1周期の平均は0。整流平均値は最大値の2/π倍
  6. 抵抗のみの回路では、電圧と電流は同位相

交流は、医用工学で扱う電気回路の土台となる考え方です。まずは波形を見ながら、周期・周波数・最大値・実効値の関係を確実に覚えましょう!


参考資料・関連資料

確認日:2026年8月31日