原子や原子核の質量を kg で表すと、10−27 kg 程度のとても小さな数字になります。そこで、原子・分子・原子核などの質量を扱いやすくするために使われるのが原子質量単位(u)です。
原子質量単位は、質量数や原子量と混同しやすい単位でもあります。今回は、原子質量単位の定義、kg や MeV への換算、質量数・相対原子質量・原子量との違いについてわかりやすく解説します。
原子の基本構造を先に確認したい方は、原子と原子核の構造の記事もあわせてご覧ください。
原子質量単位(u)とは
原子質量単位は、原子や分子などの小さな粒子の質量を表すための単位です。現在は統一原子質量単位(unified atomic mass unit)が使われ、単位記号はuと表します。
1 u は、中性で基底状態にあり、静止している炭素12原子1個の質量の12分の1と定義されています(図1)。

図1:原子質量単位の定義
1 u は何 kg か
1 u は次の質量です。
1 u = 1.660 539 068 92 × 10−27 kg
国家試験や計算問題では、通常は1 u ≒ 1.66 × 10−27 kgと覚えておけば十分です。
1 u をエネルギーに換算すると
質量とエネルギーには、アインシュタインの関係式 E = mc2 が成り立ちます。1 u に相当する静止エネルギーは次のようになります。
1 u・c2 = 931.494 103 72 MeV
質量の単位として表す場合は、1 u = 931.494 MeV/c2と書くこともできます。計算問題では、1 u・c2 ≒ 931.5 MeVを使うことが一般的です(図2)。

図2: 1 u の質量とエネルギー換算
この換算は、原子核の質量欠損や結合エネルギーを求めるときに使います。また、電子対生成で登場する電子の静止質量エネルギー 0.511 MeV も、質量とエネルギーの関係から理解できます。
原子質量単位と質量数の違い
原子質量単位と質量数は名前が似ていますが、意味は異なります。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 原子質量単位 u | 炭素原子1個の質量の1/12 |
| 質量数 A | 原子核内の陽子数 Z と中性子数 N の合計(A=Z+N) |
質量数は陽子と中性子の「個数」なので、必ず整数になります。一方、原子質量は測定された「質量」であるため、一般には整数になりません。
たとえば、水素1原子の質量数は1ですが、原子質量は約1.0078 uです。陽子・中性子・電子の質量や、原子核ができるときの結合エネルギーが関係するため、質量数の値と原子質量の数値は完全には一致しません。
質量欠損と結合エネルギーの計算
原子核の質量は、原子核を構成する陽子と中性子をばらばらにしたときの質量の合計よりも小さくなります。この差を質量欠損といいます。
質量欠損 Δm =(陽子と中性子の質量の合計)− 原子核の質量
質量欠損を u で求めた場合、結合エネルギー B は次のように計算できます。
B[MeV]= Δm[u]× 931.5[MeV/u]
たとえば質量欠損が 0.010 u であれば、結合エネルギーは 0.010 × 931.5 = 9.315 MeVです。原子質量単位と 931.5 MeV の換算は、放射線物理学で頻出する重要な関係です。
まとめ
- 1 u は炭素12原子1個の質量の12分の1
- 1 u ≒ 1.66 × 10−27 kg
- 1 u・c2 ≒ 931.5 MeV
- 質量数は陽子数と中性子数の合計である
- 原子質量は実際の質量なので、質量数と完全には一致しない
原子質量単位は、質量欠損や原子核の結合エネルギーを理解するための基礎となります。特に 1 u・c2 ≒ 931.5 MeV の換算は計算問題でよく使うため、しっかり覚えておきましょう。
